白血球が1万弱のところ15万にも増えていて、骨髄液の白血病細胞(がん細胞)が95%を占めているから正常な血液が減少している状態。
血小板が30〜40万のところ3万しかないために足に内出血を起こしたらしいです。
もう少し遅かったら、頭の血管が切れてとめられない状態でした。
治る確率は70〜80%…敏行にとっては 0 か100… 必ず治ると信じて疑いませんでした。
15万という数は必ず再発するとのことなので骨髄移植をすることになりました。
抗がん剤による化学療法で 「寛解 (治った状態) 導入」 をおこない、
地固め療法を繰り返したら骨髄移植にのぞむことになりました。
幸い告知にもめまいを起こしただけで冷静でした。
「なったものは仕方ない。前抜きに頑張る!」
その言葉を聞いて凄く嬉しかったです。
先生の言う事は素直に聞き治ることだけを信じていました。
薬による副作用で口内炎がひどく口の中の粘膜(ホッペの内側、舌、歯茎…)がえぐれ舌も腫れ、動かすことも出来ませんでした。
私たちが口内炎が一つでも出来ていたら、しみてかなり痛いのに、
敏行の場合は口の中一杯にできていて、粘膜がやられ、えぐれていました。
想像を絶する痛みだったと思います。
舌を動かせないから話もできず全く食べられない日が1ヶ月以上続きました。
「お母さん、これ食べられなくても死なないよね?何にも食べられないけど死なないよね?」
と言いながらも耐え抜きました。
食べたいのに食べられない…見ていて辛かったです。
「お母さんはいいね…俺と代わって!今すぐ代わって!!」 と言われたときは、
本当に代わってあげたい…今すぐにでも代わってあげたい!!
なにもできない自分に腹が立ちました。
ウイダーゼリーだけは、「痛い!!痛い!!」 と自分の腿を叩き、
冷や汗をかきながら、一気に飲み干していました。
「1個分のおにぎりのカロリーはとった。」
とウイダーゼリーを飲んでいると敏行も安心できたようです。
無菌室で血圧が200を突破して倒れてしまいました。
私がほんの一時無菌室を出たときでした。
入室するのに手を洗っていたら、看護師さんが、
「高野君が倒れた!」 私はビックリして、看護師さんを押しのけ、
敏行のそばに急ぎました。敏行を抱きかかえ、
「敏行!敏行!」 名前を呼び続けましたが
「ウーウー」 とうなるだけでした。
意識を取り戻したときは、本当に嬉しくて…
鼻血が何時間も止まらず、両方の鼻にガーゼが4枚ずつ詰められ、
口呼吸の為口内炎を起こしている粘膜が乾き、パリンと割れ、
口からも出血を起こしたときに大量出血による 「ショック状態」 を起こしてしまいました。先生が慌てて、「頭下げて!足高く上げて!」 敏行は意識がなく、全身汗をびっしょりかいて、本当にビックリしました。
先生が、「今、高野君輸血を始めたからもう大丈夫ですよ。意識もはっきりしているし、体力と若さでショック状態に勝ったんですよ!」 敏行にはまだ底力があるんだと本当に嬉しかったです。
度重なる危機を幾度となく乗り越え、そのつど一つ一つ克服してきました。
先のわからない不安、次になにが起こるか予測できない事態に直面しても
敏行は取り乱すこともなく、悲観することもなく、治ることだけを信じ、目の前にぶら下がる困難を、慌てずゆっくり一つ一つクリアしてきました。本当に強い精神力でした。
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